大炎上プロジェクトも終わり、ついに会社を退職。
同時に田舎暮らしを始めた僕は、順風満帆でした。
毎日が楽しくて仕方がないのです。
こんな幸せがずっと続いても良いのだろうか?
そんなことさえ思ってしまうくらいの幸せな日々でした。
独立開業準備、名刺やFAXいろいろと・・・
さて、僕が独立開業した当初、以前に勤務していた会社の上司から仕事を貰える約束をしてました。
そこで会社を辞めてから、初めて、元いた会社に打ち合わせに行きます。
とても複雑な気持ちでした。笑
その時は珍しく営業部長もいましたので、挨拶をしました。
名刺を出した途端、こう言われました。
「あやしいなぁー、どこだよ、これ、ガハハハ!」
いやあ、確かにそうです。
僕が自分で見ても、こんなとこに会社があるのかよ!って突っ込みを入れたくなるような住所です。
そもそも「郡」ですからね。
あ、そういえば「字」とか入れちゃってたかも。
まあとにかく、ヤバイ名刺でしたね。苦笑
ちなみに、僕みたいな個人事業で一部上場の企業と契約を結ぶのはなかりハードルが高い話でして。
間にその会社の子会社を1社挟んでの契約となりました。
正直、面倒くさいなあと思いましたけど、仕方ありませんね。
いや、そもそも、この契約書を書いたりしないといけないこと自体が面倒なのです。
でも、こういう普通のことができないと、仕事なんてもらえませんからね。
オフィスにはFAXも引きましたし、名刺だとか、請求書などのドキュメントのフォーマットも全部用意しました。
いちおう、最低限の準備はしたんですよ。
どうやって継続的な収入を得るか?
独立開業なんて簡単なんです。
よく開業セミナーとか行く人がいますけど、お金がもったいないです。
一人で全部やろうと思ったら、ネットで調べたりすれば全部一人でできます。
もちろん無料です。
もっとも難しいのは仕事を取ること、つまり営業活動なのです。
ぼくはラッキーなことに、最初の1発は前の上司の温情で仕事を貰いました。
でも、次からは自分で探さなければなりません。
その時は今と違って、フリーランスの人がネットで簡単に仕事を貰えるという仕組みはありません。
求人を出している会社などに電話して、外注の需要がないか営業の電話を掛けたのです。
さすがに、飛び込み営業はしませんでしたけどね。
でも、こうした営業活動は、最初にほんのちょっとしただけで、それ以降は全くしてないんですよ。
なぜなら最初にお客さんになってくれた会社から、ずっと仕事が来たからです。
すごいですよねー。
ラッキーだったんだと思います。
4か月目、上司からの仕事が途絶える・・・苦笑
さて、会社を辞める前に上司からもらった仕事はだいたい3カ月くらいは生活できるくらいの金額でした。
ざっくり言うと、100万円くらいの案件でした。
100万円あれば3カ月は余裕で生きることができます。
住宅ローンも6万円くらいだったと思いますから家賃並みです。
正直、3カ月以上生き延びることができました。
でも、4か月目に入って、上司から仕事が回ってくることはありませんでした。
仕事があるかも?って話はもらったんですが、結局ありませんでした。
どうもそのあたりに部署異動があったとか、体制が変わったとかいう話も聞きました。
会社も持ち株会社になったりとかいろいろあったみたいなのです。
ぼくも上司に「おんぶにだっこ」するつもりはなかったので、
ここは上司に「仕事くれ」とつつくのはやめて、他の仕事を探すことにしたのです。
他の仕事も実は前述の通り、営業を掛けたらすんなり見つかって、
さらに良い事に、1つうまくこなせば、続けて次が来るという状況でした。
その後も紹介の紹介などで仕事が途切れることはありませんでした。
ただ、独立してから最初の3カ月目はちょっとヤバイことがありました。
というのも、仕事が終わっても、実際にお金が振り込まれるのは最長で2カ月後なのです。
いわゆる、仕事が終わった月締めの、翌々月払いというやつですね。。。汗
そのため、どう計算しても、2ケ月後に資金がショートすることに気が付いてしまったのです。
やばいな、どうしよう!?
アコムアコムアコムアーコームー♪
まあ、なんとかギリギリお金は足りそうですが
しかし、なにかちょっとした出費があったら速攻でショートします。
住宅ローンがあるので、全部引き出せませんしね。
ほとんどバッファが無い状況でした。
そこで頭をよぎったのはアコムです。
その時、アコムのCMがよくTVで流れてましたねー。
アコムアコムアコムアーコ-ムー♪
その音楽が頭の中で何度も流れました。
いやいや、さすがに、あーゆーものに手を出したら終わりだ。
そう思ってはみたものの、他に解決策がありません。
別にギャンブルとかでお金を使うわけでも無し、1回くらいいいんじゃないか?
なんてことも思ったりしました・・・。
困ったな・・・。
その時、ふと名案を思いつきました。
それは、普段使っているキャッシュカードに、キャッシング枠と言うものがあることに気がついちゃったのです。
よかったぁー、これで「無人くん」とかにコッソリ駆け込むなんてことを回避できました。
ネット経由でキャッシングして、なんとか難を乗り切ったのでした。苦笑
初仕事が出会い系システムじゃ人に言えないよ
さて、独立開業自体は難しくないんですが、営業が難しいんです!
と書いたものの、営業もすんなりいってしまいまして・・・。苦笑
仕事も途切れずに順調な滑り出しです。
ただ、仕事も簡単に取れたからって、喜んではいけない仕事もあるんです。
最近で言うと、オレオレ詐欺の出し子役とかね。
なんかギャラが良くて、「ぼろもうけ」みたいな仕事だけど、それ違法じゃん?みたいな。
僕の周りにもありましたよ。
それはなんと営業1発目の仕事だったんです。
即行でレスポンスがあり、仕事があるよと言われたもんだから嬉しくてその会社へ出向きます。
色々と表面的な説明を受けますが、仕事の内容の細かいところまでは教えてくれません。
もう少し詳しい話は社長から話してもらうとのこと。
おいおい、もったいぶるじゃねえか。。。
で、話を聞きますと、なんと、「出会い系」システムの構築案件だったのです!
ま、健全な出会い系もありますからね、、、でも、なんか怪しいんだよね・・・。汗
ていうか、営業活動初仕事が出会い系システムじゃ、人に言えないな・・・。
いたって普通の会社で不正が行われている
さて、出会い系と言ってもいかがわしいものでなければOKじゃないかと。
そう思って、次の日に具体的な仕事をエンジニアさんと打ち合わせに行きます。
ちなみにオフィスは複数フロアに分かれており、けっこう大きな会社です。
「すげえな、いたって普通の中堅どころのIT企業じゃないか。。。」
先方のエンジニアさんと打ち合わせが始まります。
「最初の1ヶ月くらいはここで仕事してもらって、それ以降は持ち帰っていいですよ」とのこと。
うーん、1ヶ月も通うのかよ。。。
かなりイヤ。
田舎から通えるかよ、こんなとこ。。。
かなり不満をためながら話を聞きます。
まあ、とりあえず、仕事が面白いものならいいなと詳しいところをヒアリングします。
そして、もうすでに稼働しているシステムを見せてもらいました。
がっ!!!!!
ビックリすることに、「出会い系」システムではなく「出会い系サクラ」システムだったのです!
つまり世の中のアホな男どもを、サクラを使って騙してお金をむしりとるシステムだったのです。
もうびっくりですよ、こんな一見普通のIT企業、しかも中堅くらいの規模。
そんないたって普通の会社が、出会い系のサクラのシステムを作ってるなんて。。。
大変です、逮捕ですよ、ほっとしました。。。
さて、これはマズイぞと。
家に帰って、そのシステムをちらっと体験してみました。
すると確かに女性からすぐに声がかかり、何度かやり取りすると、
お金を払って次のステージへ進むみたいな課金モードになります。
うわぁ、これは酷い。。。
絶対に「出会えない」システムです。
ぼくは、翌日その会社のデスクで考えました。
エンジニアから仕様を聞きつつも、どうやって逃げようかと考えました。
いや、もうハッキリいわなきゃ!
そう思って、翌日電話で社長さんに、「すみません、この仕事は受けられません」と伝えました。
「わかりました」で話は終わりました・・・。
それから1年後くらいだったかと思います。
テレビのニュースで、出会い系のサクラシステムが詐欺だということで、
その会社ではない別の会社の社長が逮捕されたのです。
あの会社も近いうちだなと思ったものです。
いやあ、ビジネスの現場に出ると、そういうこともあるんですね。。。
本当に注意しないといけないなと思いましたね。
お金の誘惑に負けたらいけません。
信頼がすべてです。人と人なんです
もちろん、ぼくはその仕事以外にも営業をかけており、
1発目こそ出会い系で外しましたが、2発目以降も軒並み受注に成功して、
そのうちの2,3社から継続的に仕事を貰うことになるのです。
とくに、1つの仕事がうまくいけば、2つ目の話も来たりします。
やっぱり信頼が大切なんだなあと思いました。
ビジネスライクという言葉がありますが、ちがいますね、
やっぱ人と人ですから、ビジネスの前に信頼感ですね。
僕と同じように独立して頑張ってるエンジニアもいますが、
ビックリするくらいテキトーな人っていますからね。
僕の感覚で「この人、絶対無理だろ」って思った人はだいたい数年以内に消えています。
いや、自分自身、こうして10年も15年も継続して自営業者としてやっていけるなんて思ってもみなかったんですけどね。
これからも、この調子で続くといいなあと持っています。
クライアントさんに感謝しかないですね。
最悪、仕事が無くなったらどっかの現場に常駐すればいいわけですし、
エンジニアが食いっぱぐれることはないと思っていますしね。
これにて、「脱サラして独立開業した話」は終わりです。
長らくのお付き合い、ありがとうございました。
次は、田舎暮らしの話でも書きましょうかね。笑
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