またしても入社3か月。
短期バイトの勢いで会社辞めますと社長に伝えたボクですが。
「アタマかち割るぞ!」
の一言で、いよいよ僕も東京湾に沈められるのか?
と思いきや、まったくの急展開を迎えます。
「アタマかち割るぞ」が僕たちの流行語大賞
さて、その後、社長の説教も終わり、席に戻ります。
新人の仲間たちが僕の周りに群がります。
「どうだった、何言われた?」
みんな興味津々です。苦笑
「アタマかち割るぞって言われた。」
そう伝えたら仲間は大ウケ。
「まじでまじで!?」
それ以降、僕たちの流行語は「アタマかち割るぞ」となりました。
なにかあれば「今日はアタマかち割られたか?」とあいさつ代わりに一言。笑
社長室での一部始終を仲間とシェアして、そして、ひと段落した時です。。。
正直なところ、色々考えちゃいましたね。
Sさんに裏切られたと思いつつも、なんだか申し訳ないなあという気持ちも出てきたんです。
「やっぱり続けます」Sさんの優しさを感じた・・・
実は、今回の派遣先はSさんがセレクトしたものだったのです。
自宅アパートから遠い遠い派遣先、片道2時間。
でも、なんと、Sさんも若い頃に派遣先として働いた場所だったのです。。。
なんでそんな遠い場所を選んだんだよと思いつつ、Sさんも若い頃修行した現場かと遠い目で考え込む自分。。。
Sさんは、「ここはとても勉強になるし、良い現場だから一度行ってみろ」と言うんです。
さらに「あの現場は4大卒か資格が無いと入れない現場だから、オマエと一部の新人しか入れないんだぞ」と。
「行ってしばらく働いてみて、嫌だったらまた戻って来いよ」と、まで言ってくれてたんです。。。
でも、あの時は頭に血が上っていた。
裏切られたと思っていたし。。。
そういうことを考えてたら、やっぱり、Sさんに申し訳なく思えてきたのです。
Sさん、いい人だなあって・・・。
会社の経済事情でやむなく派遣されるという雰囲気もなんとなく感じてました。
「今は異常な状況だよ、新人が現場に行けずにこんなにいるんだぞ…。」
というセリフをSさんも呟いてましたし、想像以上に大変な状況なんだろうなと。
それもあって、Sさんに再度、伝えました。
「すみません、やっぱり続けます。」
Sさんも快く、
「おう、社長に伝えて来いよ。」
何が僕を引き留めさせたのか?
辞めますと言ったばかりの自分が再び社長室に向かいます。
「先ほどはすみませんでした、やっぱり、続けたいと思います」
そう伝えましたら、
「そうか、がんばれよ」
ちょっと笑顔だったような記憶もあるんですが、
若干そっけない感じでそう言われました。
そして後日、遠い遠い現場へ面接に行きまして、
無事に合格して、片道2時間の地獄通勤が始まったのです。
しかし、これは本当に偶然なのか何なのか、神の導きなのか。。。
僕がこの時に思いとどまってなかったら、IT業界にいなかった可能性があります。
辞めますと言ったものの、次に何をやるかなんて全く考えてませんでした。
もちろん、IT業界なんて違法派遣でもうウンザリだと思っていたでしょうから、
本当に辞めてたらIT業界以外に転職していたかもしれません。
結果として、思いとどまって続けることで今の僕があるのです。。。
もちろん、Sさんの気持ちが響いたことも大きいんですが、それ以上に大きな偶然があったように思います。
早々に経歴詐称がバレる・・・
さて、現場は通勤が大変でしたが、とても良い環境でした。
誰もが知っている、あの大企業です。
でも、大企業ってどこでもそうなんでしょうか?
すごくのんびりしてるんです。
公務員的な雰囲気です。
「大企業ってこんな暖かいかんじなのか、大企業っていいな」
と思いました。
頑張ればそれなりに認められて上に行けるんですが、
のんびりやっても何とかなりそうな職場だと思いました。
つまり、未経験だけど経験3年と経歴詐称して放り込まれたボクにとっては好都合な職場でした。
この雰囲気なら、ごまかしつつ仕事ができるなと思ったんです。
でも、それが甘かったですね。
何を見ても、聞いても、触っても、すべてが初めてのものばかりですから、質問ばかりです。
直属の先輩は優しい人だったんで何を聞いても丁寧に教えてくれたんですが、
隣の関連部署の人にも質問しなければならない時があったので何度か質問に行ったあげく、
「なんだよ、経験あるはずなのに、なんにも知らないじゃん…。」
と言われてしまったんです。。。
ヤバイ、クビかなと思ったんですが、なんとか大丈夫でした。。。
キツイ人もいるんだなと思いました。。。苦笑
でも、その後に色々と考えた挙句、先輩には打ち明けました。
「実は僕、未経験なんです、会社から『経験3年ってことで行け』って言われてるんです」と白状しました。
先輩はたぶんリーダーには報告しなかったと思います。
その代わり僕を未経験者として優しく丁寧に指導してくれました。
良い先輩ですねえ・・・。
ちなみに先輩は関西弁なんですが、フランス車が好きで、おしゃれな感じの人でしたね。
よくフランス車のオフ会の写真も見せてくれましたね。
その時は車なんか全然興味なかったですけどねー。苦笑
まあ、でも良い先輩だったですね。
現場もまた「イジメ」がありました・・・
でも、それをさらに上回るイジワルなジイサン社員がいたんです。
定年間近らしいんですが、この歳になっても管理職じゃなくて、ずっとプログラムを組んでいる職人肌の人でした。
で、僕が気に入らなかったみたいで、いちいち嫌味を言ってきます。
「なんだよ、その髪型は、面白い髪形してるな。」
と、何度も言ってきます。
最初に一回言えばそれでいいだろと思うんですが、なぜか髪型のことを何回も言ってきます。
僕はその時、普通に短髪で、ジェルでツンツンに立たせてただけなんですが、
そのツンツンのトゲトゲな髪がイマイチ気に入らなかったようです。
「K1の佐竹」みたいにしてくれって床屋には頼んでましたが、それがマズかったんでしょうか。苦笑
でも、それだけではありません。
僕の後ろを通る時に、わざと僕の椅子の足を蹴るんです。
最初でこそ、「あ、ごめん」と言いながら蹴とばしていったんですが、
だんだん何も言わず蹴とばすようになります。
なんだよ、このセコイ嫌がらせ。。。
そうかと思えば、仕事についても厳しくて、なにをどうやってもダメ出しばかり。
わざとダメ出ししてるんじゃないかと思うくらい、毎回、ダメ出しを食らっていましたね。。。
「何故いつも僕の周りには嫌な人ばかりなんだろう。。。」
またいつものパターンが始まりました。
正直、楽しくなってきた、何年でもやれそう!
でもね、救いは仕事の楽しさです。
なんだかよくわかんないなと思いつつも、仕事は楽しかったのです。
覚えることがやたらと多いですが、覚えれば楽しいです。
先輩も優しかったですし。
もちろん結果として、ほとんどプログラムは組ませてもらってません。
組んだものは全て却下されて、結局、上の上の方にいる大ボスが、
納品間近でもまったくプログラムができない僕の代わりに急遽、プログラムを組んだんです。。。苦笑
プログラムって難しいなあって思いましたね。。。
振り返ると、プログラムの割合が1割とすると、残りの9割はテストでした。
一般的に、IT業界に入りたての人は最初はテスト要員から始まることが多いです。
僕もご多分に漏れず、ほとんどテストしてました。
本当はテストってつまんない作業なのですよ。
みんなが嫌がる作業です。
なので、新人にやらせるんです。
(最終的にはQA専門部署が最終テストをするんですけどね。)
でも、テストすら僕は初めてだったので、なんだか楽しいなって思っちゃったんです。
そして、先輩のプログラムをテストする毎日が続きました。
ジイサンからダメ出しを受けていたのは、実はテスト仕様書の書き方だったんです。
でもね、だんだんジイサンもおとなしくなってきて、ぼくにも普通に接してくれるようになったんです。
1年くらい一緒に仕事してたから、慣れてきたんでしょうか、
ぼくが「K1の佐竹みたいな乱暴者」ではないということをわかってくれたのか、嫌がらせも無くなってきたんです。笑
それもあって、すごく楽しい職場だな、これなら1年以上、いやずっといてもいいなって思ったんです。
突如として訪れた経営悪化の話・・・
ところがですね、幸せな時間は長くは続きません。
これもまた、ぼくらしい人生です。
な、な、なんと、会社がヤバイことになっていたんです!
もちろん会社ってのは、派遣先の大企業でなく、僕が席を置く派遣元の、あのヤクザ社長の会社です。笑
会社は月に1回定例会と称して、各現場に散っていった社員たちを集合させて報告会をします。
僕と同じように「イジメを受けてるんですー」という人もいれば、
「プロジェクトが炎上してますー」という人、
「来月でカットオーバー(現場終了)ですー」という人などなど。
この毎月1回の報告会は、仲間のみんなに会える日でもあり、ちょっとだけ楽しい日だったんです。
でも、僕が現場に出て1年くらい過ぎた時の定例会でまさかの発表があったのです。
それは、会社の経営状態が良くないので、社長が現場に出るという発表だったのです。
社長がみんなの前で言います。
「今、会社の状態が良くない、オレも現場に出ることにした!」
つまり、社長も出稼ぎに出ないといけないほど会社に現金がないってことですね。。。
(恐らく、資金融資を受けてましたね。)
が、どちらかというと白けた感じで見ていた人が多かったように思います。
なぜなら、あれだけ普段は威張っていた社長ですからね。
業績が悪くなれば、「何だよ、あんなに偉そうにしてたくせに!」ってことになりますよね。
しかも、社長の言い方が気に障ります。
「オマエらわかるよな、このオレが現場に出なきゃいけない状況なんだぞ? 大変なことだ。」
「いやいや、だれの責任だよ、現場の俺らの責任じゃないよ、社長の責任だろ?」
みんなそう思ったと思います。。。苦笑
しかし、会社の運命はさらなる急展開に見舞われます。
誰も予想していない、ビックリなことが起きるんです。。。
その頃、いつものブラックな人脈が裏でこっそりと暗躍していたのです。。。
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